ソニーの企業分析

今回はソニーの企業分析です。ソニーというと長らく家電メーカーという印象がありましたが、近年では家電だけでなく、PlayStationなどのゲーム、映画やアニメなどのエンターテインメント、銀行や生保・損保などのフィナンシャル事業など実にさまざまな事業を展開しています。また10年ほど前ではテレビ事業で大きな赤字を抱えており、ソニーは終わったなと言う人もいましたが今では日本でトップクラスの存在感を放つ企業になっていると個人的には思います。時価総額も2021年1月時点で約13兆円ということで4位になっています。まさに人気と実力を兼ね備えた企業と言ってよいでしょう。国内企業の時価総額ランキングはこちらの日経新聞のサイトで確認できます。

ソニーの事業

ソニーは実に様々な事業を行っています。家電のイメージが強い方もいるとは思いますが、近年は家電などのハードよりもサービスやコンテンツなどのソフトの事業が充実している印象があります。代表的なものを下記にあげていきます。

エレクトロニクス事業

ソニーの本業とも言えるエレクトロニクス事業です。ウォークマンをはじめとする音楽再生プレーヤやテレビ、スマートフォンなど多くの家電の製造・販売を行っています。多くの方がイメージされるソニーの事業はこのエレクトロニクス部門ではないかと思います。

ゲーム事業

プレイステーションを中心としたゲーム事業です。プレイスターション5は発売以降、人気が爆発し抽選でも買えないユーザーが多いとのことです。圧倒的な人気で今後の成長にも期待されています。またゲーム事業はプレイスターションなどのハードだけでなく、外部のゲーム開発会社からはいるライセンス料やソニーゲームネットワークから入る収入が伸びているのがポイントです。すでにエレクトロニクス事業に並びソニーを支える2大事業に成長していますが、今後の成長も期待できる有望分野です。

音楽事業

ソニーミュージックの名を聞いたことのあるかも多いとは思いますが、自社レーベルを持ち、CDなどの販売を行っています。近年では音楽配信が主流になりつつあることもあり、利益率もよくなっているようです。またタレントの発掘・育成にも積極的に乗り出しており、今をトキメク乃木坂もソニーミュージック所属です。タレントを発掘・育成し、音楽配信・コンサートやイベント・映像作品で大きく稼いでいくこのビジネスモデルは今後の成長も期待できそうです。

また直近ではソニーミュージックの子会社であるアニプレックスによる「鬼滅の刃」が史上空前の大ヒットとなり日本の歴代映画興行収入を更新したことも記憶に新しいです。「鬼滅の刃」が大ヒットしたことで、出版元の集英社とともにアニプレックスおよびソニーミュージックの国内のエンタメ領域における存在感は大きくなったのではないかと思います。

映画事業

ソニーピクチャーズを中心に映画制作を行い、劇場からの収入やテレビなどでの放映からのライセンス料、グッズ・DVD販売などを行います。

金融事業

ソニーが金融事業をやっているイメージがある方は少ないかもしれませんが、ソニー生命・ソニー損保・ソニー銀行などを運営しています。既存の銀行に比べ、インターネットなどの仕組みを上手に活用し、効率よく経営していると同時に、ソニーグループということで最新のテクノロジーを活用した商品開発にも積極的に取り組んでいるイメージがあります。

イメージ&センサー事業

事業内容の変化

下記チャートをご覧ください。2010年度と2018年度の事業内容と各事業の全体に占める割合です。売上は約1兆円ほど伸びていることが分かりますが、より注目すべきはその構成が大きく変わっていることです。

2010年度2018年度
売上71,776億円82,599億円
エレクトロニクス24%24%
イメージ&プロダクト13%13%
ゲーム12%24%
音楽7%11%
映画8%12%
金融11%16%
その他25%

特に大きくシェアを伸ばしているのがゲームと金融です。音楽と映画の伸びも目立ちます。対して2010年度には存在したモバイルプロダクトというセグメントがなくなっています。上記では「その他」に分類していますが、そのほかにも2010年度には小さいながらも存在したセグメントが全てなくなっています。おそらくエレクトロニクスなどに再編されたのだと予想できます。2018年度ではトップセグメントの一つであるエレクトロニクスではありますが、実際は複数の事業をまとめてゲームと並ぶトップセグメントになっていると考えられ、勢いと言う意味では今後はソニーはゲームが主力セグメントになる可能性が高いと思います。それに続く、音楽、映画などすでにかつてのハード・家電のソニーではなくて、ソフト・エンターテインメント・コンテンツのソニーになっていると言っても差し支え無さそうです。